砂上の骸

 王はきんを纏うべきと決めたは、始祖の王か。
 王はぎょくを飾るべきと決めたは、在野の民か。

 砂塵に舞う問いかけは、王に届くことなく飛散する。

 問われるは、名を奪われた王の亡骸なきがら
 金を纏った肉は干からび、玉を飾った骨は渇いていた。
 生気をなくし枯れきった肉体だけが、虚しく砂に埋もれている。

 彼の名を知る者はいない。  彼は彼の名を記憶を魂を、闇とともに封じて逝った。
 それが王たる己の務めと、微笑みさえしながら。

 月は冴えざえと砂漠を照らす。
 金のパズルのピースは、王だった少年の骸に献花のごとく散らばっている。
 組みあげるものは、きっといない。
 パズルは誕生した時から完成していた。これまでに組みあげた者は誰一人としていない。
 王の封印はパズルの完成と共に解かれる。
 王は何ゆえにパズルを選んだのか。
 答えられる者もまた、いない。
 王はもう、砂漠に横たわったままなのだから。
 起きあがることなど、永遠にありえないのだから。

 月光が冷やかに彼を射す。
 風に洗われ、砂に削られ、亡骸はいずれ磨滅するだろう。
 これは終わってしまった物語。
 王も民の等しく滅び、救いなどカケラも与えられずに終わった崩壊の物語。
 無残な亡骸をさらす少年王を救うことなど、誰にもできない。








 ――ただ一人、三千年の時を隔て、パズルを組み立てる少年を除いて。

2008.04.03up

あとがき
文庫19巻のあとがきを読んで、衝動的に書いてしまいました。
衝動というにはアップが遅すぎるのは、あまりにも雰囲気優先の文章のため、出すべきか出さざるべきか悩んでいたからです。
でももう、アップしたからには関係ないですよね!!
色々矛盾してますが、雰囲気が出せてればいいナ!! と思います(待て
もしも先生が史実編を描くとしたら、あとがきに書かれていたシーンがエンドのシーンになるのだろうな…と思ってみたり。
以上、史実編スタートは今からでも遅くないと思っている尾雲の戯言でした。